LibreOffice 25.2 – ユーザーのニーズに応えるオフィススイート
新しいメジャーリリースでは、多くのユーザーインターフェースとアクセシビリティの改善に加え、従来通りに相互運用性が改善されています。
2025年2月6日 ベルリン ― 自由なオフィススイートのボランティアサポート版の新しいメジャーリリース「LibreOffice 25.2」が公開されました。Windows版(Intel、AMDおよびARMプロセッサ)、macOS版(Apple SiliconおよびIntelプロセッサ)、Linux版がダウンロード可能になりました。
https://ja.libreoffice.org/download
LibreOfficeは、個々のソフトウェアツールやドキュメントを完全に管理し、ビッグテックによる商業的な干渉やロックイン戦略からプライバシーとデジタルライフを守りたいユーザーにとって最適なオフィススイートです。
LibreOfficeは、見かけだけではなく、ユーザーの実際のニーズを満たすように設計された唯一のオフィススイートです。伝統的なものから現代的なものまで、さまざまなユーザーの習慣に合わせて幅広いインターフェース・オプションを提供し、画面サイズに応じて利用可能なスペースを最適化することで、1~2クリックで必要な機能にアクセスできます。
また、個人情報や機密情報を含む文書の作成においても、ユーザーのプライバシーを尊重する唯一のソフトウェアです。標準的でオープンな形式を採用しており、ロックインや定期的なソフトウェア更新を強制することなく、作成したコンテンツを共有するかどうか、誰と共有するかをユーザー自身が決定できます。これらの特長を備えながら、LibreOfficeは市場で提供されている主要なソフトウェアに匹敵する機能セットを提供し、他のどの競合製品よりもはるかに優れています。
LibreOfficeが他に類を見ない存在である理由は「LibreOffice Technology Platform」にあります。このプラットフォームは、市場で唯一、デスクトップ、モバイル、クラウドバージョンを一貫して開発できる仕組みを提供します。エコシステム内の企業が提供するバージョンも含め、2つのISO標準形式に基づいた、同一かつ完全に相互運用可能なドキュメントを生成できます。その2つの形式とは、オープンなODF(Open Document Format:ODT、ODS、ODP)と、プロプライエタリなMicrosoft OOXML(DOCX、XLSX、PPTX)です。 後者であるMicrosoft OOXMLは、膨大な数の人工的(かつ不要な)ロックインを引き起こす複雑性が隠されており、標準形式を使用していると誤解しているユーザーに問題を引き起こす可能性があります。
さらに、エンドユーザーは、ユーザーメーリングリストや質問掲示板のAsk LibreOfficeに質問を投稿して、他のボランティアユーザーから基本レベルのサポートを受けることができます。
https://ask.libreoffice.org/c/japanese/16
LibreOfficeのガイドブックはhttps://books.libreoffice.org/から入手できます。(日本語版はこちら)
LibreOffice 25.2の新機能
- 保存時に個人情報を削除するオプションを有効にすると、次の情報がエクスポートされなくなります:作成者名、タイムスタンプ、編集時間、プリンター名と設定、ドキュメントテンプレート、コメントや変更履歴の作成者と日付
コア、全般
- LibreOffice 25.2は、ODFバージョン1.4の読み書きに対応しました
- プロプライエタリなOOXMLドキュメントとの相互運用性が大幅に向上しました
- デフォルトの証明書を設定することで、ドキュメントの自動署名が可能になりました
- Windows 7および8/8.1は非推奨プラットフォームであり、バージョン25.8でサポートが終了します
- Pythonに依存する拡張機能や機能は、Windows 7では動作しません
Writer
- 変更履歴管理が改善され、長い文書で多数の変更をより効率的に管理できるようになりました
- コメントにフォーカスを移動した時に、ナビゲーターでコメントが追跡されるようになりました。また、コメントエリアのサイズ変更時に視覚的なガイドが表示されます
- ドキュメントを開く際のデフォルトズームレベルを設定できるオプションが追加され、ドキュメント内に保存されているズームレベルに対して優先的に適用されます
- ナビゲーターを使用して、ドキュメントに含まれる特定のコンテンツタイプ(見出しを除く)を一括削除できるようになりました
Calc
- 重複レコードを選択または削除するための「Handle Duplicate Records」ダイアログが追加されました
- 関数ウィザードダイアログとサイドバーの関数デッキが改良され、検索機能とユーザー体験が向上しました
- ソルバーモデルをスプレッドシートに保存できるようになり、ソルバーが感度分析レポートを提供できるようになりました
- ピボットテーブル、ピボットグラフ、オートフィルターに関連する新しいシート保護オプションが追加されました
ImpressとDraw
- Impressテンプレートが大幅に改善され、マスターノートと配布資料で要素(フォント色が黒に設定)が見やすくなりました
- ImpressのスライドやDrawのページで、オブジェクトをワンステップで中央揃えできるようになりました
- ウィンドウモードでスライドの自動繰り返し再生を有効化できるようになりました
- プレゼンターノートで文字があふれている場合でも、印刷時に切り取られることがなくなりました
ユーザーインターフェース
- 最近使用したファイルのリストに「[x] 現在のモジュールのみ」を選択するチェックボックスが追加され、リストをフィルタリングできるようになりました
- オブジェクトの境界線が、フォーマットマークとは独立して切り替え可能になりました
- 非印刷文字の色やコメントの背景色をカスタマイズできるようになりました
- 箇条書き(バレット)のデフォルト項目のデザインが更新されました
- アプリケーションテーマが大幅に改善されました
アクセシビリティ
- アクセシビリティサイドバーの警告およびエラーレベルが改善され、警告を無視するオプションが追加されました
- ユーザーインターフェース要素が支援技術で使用できるアクセシブル識別子を報告するようになりました
- Windows: ツールがアクセシビリティレベルで情報を取得する際、自動的にアクセシビリティが有効化され、アクセシブルな関係が正しく報告されるようになりました
- Linux: (Waylandを含む)UI要素の位置がアクセシビリティレベルで正しく報告されるようになりました
ScriptForgeライブラリ
- ユーザーのBasicまたはPythonスクリプトから呼び出せる、拡張性が高く堅牢なマクロスクリプトのコレクションです
- サービスの全セットは、Basicと同じ構文と動作を持つPythonスクリプトで利用できるようになりました
- ScriptForgeライブラリの英語ドキュメントがLibreOfficeヘルプページに部分的に統合されました
LibreOffice 25.2 Communityへの貢献者
LibreOffice 25.2の新機能は176名の貢献者によって開発されました。ソースコードへの貢献の47%は、Collaboraやallotropiaなどのエコシステム企業やその他の組織に雇用されている50名の開発者によるものであり、31%はThe Document Foundationに所属する7名の開発者によるもので、残り22%は119名の個人ボランティア開発者によるものです。
さらに、189人のボランティアが160の言語で771,263個の翻訳済み文字列を提供しており、翻訳に取り組んでいる数百人の人々を代表しています。LibreOffice 25.2 Communityは、他のどのオープンソースソフトウェアや独占的ソフトウェアよりも多い120の言語でリリースされており、世界中で55億人以上の人々が母語(L1)で利用できます。さらに、24億人以上の人々がそれら120言語のいずれかを第2言語(L2)として使用しています。
企業向けLibreOffice
TDFは、企業・団体へのLibreOffice導入について、エコシステムパートナーが提供する特別な付加価値を多数含んだ、LibreOffice Enterpriseファミリー(デスクトップ、モバイル、クラウド向け)の導入を強く推奨します。これらには、多くの特典が含まれ、他にもサービスレベル契約(SLA)などのメリットがあります。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-in-business/
エコシステム企業が顧客のために開発したすべてのプログラムはマスターコードリポジトリでコミュニティと共有され、LibreOffice Technologyプラットフォームを改善します。LibreOffice Technologyをベースにした製品は、Windows、macOS、Linux、Chrome OSの主要デスクトップOSをはじめ、AndroidやiOSのモバイルプラットフォーム、クラウドにも提供されています。
LibreOfficeへの移行
The Document Foundationは、企業が独占的なオフィスソフトからLibreOfficeへ移行することをサポートするための移行プロトコルを開発しました。このプロトコルは、LibreOfficeの企業向けに最適化されたバージョンのLTS(長期サポート)版導入に加えて、認定専門家により提供される移行コンサルティングとトレーニングを前提としています。
参考ページ: https://ja.libreoffice.org/get-help/professional-support/
LibreOfficeには、成熟したプログラムコード、豊富な機能、オープンスタンダードに対する強力なサポート、優れた相互運用性、そして認定パートナーによる長期サポート(LTS)オプションがあります。データのコントロールを取り戻し、ベンダーロックインから開放されたい企業にとってLibreOfficeは理想的なソリューションです。
LibreOffice 25.2の利用について
LibreOffice 25.2は以下から利用可能です
https://ja.libreoffice.org/download/
商用OSの最小要件は、Microsoft Windows 7 SP1とApple macOS 10.15です。
LibreOffice TechnologyをベースとしたAndroidとiOS向けの製品についてはこちらをご覧ください。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-for-android-and-ios/
最新の機能を必要とせず、より多くのテストとバグ修正が行なわれたバージョンが必要な方のために、The Document FoundationではLibreOffice 24.8ファミリーを保守しています。これには、数カ月間に後方移植された修正が含まれています。現在のバージョンは、LibreOffice 24.8.4です
LibreOfficeユーザー、自由ソフトウエアを支持する方、コミュニティメンバーは、寄付を通じてThe Document Foundationを金銭面からサポートできます。
https://ja.libreoffice.org/donate
[1] リリースノート: https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/25.2/ja
日本でのお問い合わせ先
LibreOfficeに関する日本語でのお問い合わせについては、LibreOffice日本語チーム<ja-contact@libreoffice.org>までお問い合わせください(担当: 榎 真治/目黒 純)
このプレスリリースは、LibreOffice日本語チームにより、須藤弘善さん、Saburoさんの協力を得て翻訳されました。
原文のblog記事:LibreOffice 25.2, the office suite that meets today’s user needs