LibreOffice Asia Conference 2019開催レポート

5月25日と26日に東京日本橋のサイボウズ東京オフィスにて行われた、LibreOffice初のアジア地域カンファレンス「LibreOffice Asia Conference 2019」の開催レポートをお届けします。

このレポートですが、開催から2か月以上もたっていて参加者レポートも公開されてますし、カンファレンスのビデオとスライドもすでに公開されています。ですので、この記事では、それらを全部まとめて見られるようリンク集もまとめましたので合わせてご覧ください。

24日 前夜祭(歓迎パーティ)

国際カンファレンスということもあり、アジアやヨーロッパからの参加者は前日、日本に到着していました。 前日に集まっているなら歓迎パーティ(Welcome Dinner)をしましょうということで、新橋で日本のスタッフと海外参加者の食事会が開かれました。

ですが、金曜の夜です。場所は雑居ビルにある居酒屋です。サラリーマンらでごった返す中、日本の地方在住者でも会場への到着に時間がかかったのに、海外からの参加者は無事たどり着けるのだろうか…。という不安もありましたが、その心配をよそに全員、無事に到着。

会場は少し狭く、動き回ってのお話はできませんでしたが、20人以上の人がぎゅうぎゅうになりながらも楽しく飲んで食べておしゃべりをして和やかな食事会となりました。

25日 カンファレンスデイ

カンファレンス当日です。 日本側スタッフは、少し早めにサイボウズ東京オフィスのある日本橋タワーに集まりました。

サイボウズ東京オフィスは、以前、LibreOffice Kaigi 2016のときにも使わせていただきましたが広い!そして、めちゃくちゃ見晴らしがいい!こんなところを利用できるなんて…。 サイボウズさま、ありがとうございます!

早速、当日スタッフも含めたスタッフ全員が集まって会場準備のミーティングからスタートです。ミーティングは撮影のためのビデオカメラ配置やTシャツの配布などをテキパキにとは、いきませんでしたが慌ただしい中にもゆるい雰囲気で準備をしていきました。

バタバタしていると来場者の方が来場し始めて、気がつけばカンファレンスの時間です。

オープニングではスポンサー紹介やTDFボードメンバーで今回のAsiaConf開催のきっかけを作ってくれたFranklin Wengさんの話の後、台湾で活躍する開発者、Mark Hungさんの基調講演「LibreOffice CJK Bugs, Fixes, and Stories.」からスタートをしました。

個人的なことですが、このあたりから記憶が途切れてまして実はあまり覚えてなかったりします。 何をしてたかというと、スタッフとしてビデオ録画できているか見て回ったり、Twitterの中継をしていたりしていました。

ということで、詳しいカンファレンスの様子についてはYouTubeのビデオアーカイブTogetterのまとめをご覧ください。

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落ち着いてみられるようになったのは午後からのセッションからで、その中で個人的に印象深かったセッションは、スポンサーにもなっていただいたインドネシアの靴メーカFANSのセッションでした。

FANSはLibreOfficeを導入した靴メーカーというだけでなく、会社のシステムをすべてオープンソースソフトウェアのシステムに置き換えたり、そのオープンソースソフトウェア利用のノウハウを地域の学校の先生に教えるなど靴メーカーに留まらない活動を行っており、インドネシア社会にも貢献する様子がとても心に残りました。

もうひとつ印象に残っているのが、3時のおやつタイム(午後の休憩)で、Franklinさんが持ってきていた特注のLibreOfficeアイコン型のキャンディーでした。これがとてもよくできていて、みんなに大ウケでした。(人気すぎて、もらいそびれてしまった…)

そうこうしているとセッションも終わり筆者はライトニングトークに出たり、セッション最後となるItalo VignoliさんとLothar Beckerさんの基調講演がありました。Italoさんの話では、LibreOfficeに至るまでの歴史から現在、未来、LibreOfficeはグローバルコミュニティであることの話。LotharさんからはLibreOffice認定プログラムについての話があって、あっという間の一日でした。

懇親会

懇親会は、いろんな方とお話しできて、とても楽しかったです。

国際カンファレンスと言えば、みなさんのお土産も楽しみのひとつです。韓国のDaeHyunさんが持ってきた度数の高いお酒を飲む人を(お酒に弱いので)見ていたり、Harisさんが持ってきたインドネシアの甘いプルーンみたいなお菓子を食べたり、おいしいものを食べて楽しくお話しができた懇親会でした。

26日 CJK HackFest+ビジネスデイ

二日目は、CJK HackFestとビジネスワークショップ、The Document Foundation認定移行プロフェッショナルと認定トレーナーの面接がおこなわれました。

CJK HackFest

CJK HackFestは、CJKと付いているようにLibreOffice開発の中でも東アジアの言語、中国語(Chinese), 日本語(Japanese), 韓国語(Korean)に関する事を中心に開発をしようというイベントです。 LibreOfficeの開発はオンラインでおこなわれていますが、こういう場所で一同集まって開発をすると分からない事があってもすぐに相談、解決できるのでイベントにはつきものになっています。

こちらは、おのおのが好きな場所で作業をしていたり、他の方と相談しながら作業をしていました。 ちなみにサイボウズオフィスには、ファミリーレストランの席のように対面で4人前後が座れる通称ファミレス席と呼ばれる場所があって、そこに座って作業をしていると本当にファミレスで作業しているようでした。

ビジネスワークショップ

そして、もう1つの部屋ではビジネスワークショップがありました。こちらではLibreOfficeとLibreOfficeも利用するファイル形式ODF(Open Document Format)をどう普及、啓蒙するか。そして、ビジネスとして、どう回していくのかなどが話されていました。

自分が聞いた中で印象に残っている話は、OOXML(Microsoft Officeが使用しているファイル形式)に対してのODFのアドバンテージの話で、OOXMLは昔のMicrosoft Officeの仕様をそのままXML化したような形になっており色を変える要素(タグ)1つ取ってもWord, Excel, PowerPointでバラバラになっているそうです。それに対しODFは用途が違っても一貫性があり、外部から操作する場合も直感的に操作ができるという話でした。

TDF認定資格面接

ビジネスワークショップのほかには、The Document Foundation認定移行プロフェッショナルと認定トレーナーの面接がありました。

The Document Foundationには、3つのLibreOfficeの認定資格制度があります。 1つ目はLibreOffice開発者であることを認定する「認定開発者」。2つ目は他のオフィスソフトからLibreOfficeへ移行するためのコンサルティングや実際に移行するためのマネージメントをおこなう「認定移行プロフェッショナル」。3つ目はLibreOfficeの利用について指導をする「認定トレーナー」があります。

そのうちの移行プロフェッショナルとトレーナーについて、実際の対面での面接が開催され台湾から1人、日本からは3人、面接を受けました。

ここで、TDF認定資格について簡単に触れておきます。 認定資格というとMicrosoft認定資格などを思い浮かべる方が多いと思います。技術の認定という点は同じですが、TDFの認定資格はコミュニティ活動の実績を重視し、LibreOfficeやオープンソースソフトウェアのエヴァンジェリスト(伝道師)としての側面もあるという点が大きく異なります。

Microsoft認定資格などはお金を払って試験を受ければ誰でも取れますが、TDF認定資格は誰でも受けられるものではありません。応募にはTDFメンバーの推薦と実績を示す資料提出があり、それに基づきコミュニティ活動の実績調査を経て、資格があると判定された人だけが面接を受けられます。

つまり、面接を受けられる人は、周りから実績が認められたすごい人ということですね。

さて、面接の様子に戻ると、面接は認定委員と見学者の前で自分が行ってきたことなどをプレゼンテーションする形式でおこなわれました。

筆者は面接を受ける側だったので、この部分についてあまり客観的には見られませんが、今後受けたいという人にアドバイスを残すなら、面接は実績確認という意味合いが強いので緊張しなくても大丈夫です。あと、簡単な受け答えでも英語でできるようになりましょう。今回、通訳をしていただいた方が、とてもすごい方で細かいことも全部翻訳していただいて恐縮することしきりでした。

面接の結果としては全員、合格しました。

その後、参加者を交えた討論やCJK HackFestの成果発表などがありましたが、帰りの飛行機の時間が近づいていたので後ろ髪を引かれつつ会場を後にしました。

27日 エクスカージョンツアー

こちらのツアーは参加できませんでしたが、参加された方は、みな楽しまれたようです。その様子は、こちらの写真レポートをご覧ください。

その中で自分が驚いたのは、ハリスさんから浅草でマーティー・フリードマン(Megadeathのギタリストで日本のポップミュージック評論家)に会った!とTelegramで写真が送られてきたのはビックリしました。 日本語は堪能ですし日本在住であることは知ってましたが、まさか浅草に歩いているとは…。

ハリスさんのブログに、ツーショットの写真が掲載されているので興味のある方はご覧ください。

最後に

イベントが終わって2か月もたってからのレポート、ホントにごめんなさい! ビデオの編集をしたり、個人的に試験を受けたりして慌ただしくしていたら、あっという間にこんな時間になってしまいました。

国際カンファレンスは1年ぐらい時間をかけて準備をしますが、このAsia Conferenceは5か月しか期間がなく本当に開催できるのか?と思いながら進めていました。ですが、日本で開催したLibreOfficeのイベントとしては過去最高の参加者で日本語チーム一同、大変感謝しています。

これも参加していただいた皆様や開催にご協力いただいたスポンサーの方々のおかげです。 本当にありがとうございました。

来年以降も国内向けのLibreOffice Kaigiは続けていきますので、こちらもよろしくお願いします。

LibreOffice Asia Conference 2019リンク

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