LibreOffice 24.2 CommunityがすべてのOS向けにダウンロード可能になりました
2024年1月31日ベルリン – 自由なオフィスソフトのボランティアサポート版「LibreOffice 24.2 Community」が新しくメジャーリリースされました。カレンダーに基づくリリース番号体系(年.月)に基づく最初のリリースです。Windows版 (Intel、AMDおよびArmプロセッサ)、macOS版 (AppleおよびIntelプロセッサ)、Linux版は、以下より入手することができます。
https://ja.libreoffice.org/download/
新しい番号体系は、ユーザーがインストールしたLibreOfficeを最新の状態に保つのに役立ちます。
LibreOfficeは、市場の主要製品に匹敵する機能を備えた個人の生産性向上のための唯一のオープンソースのオフィスソフトです。また、伝統的なものから現代的なものまで、さまざまなユーザーの習慣に合った幅広いインターフェースのオプションを提供し、多種多様な機種仕様(フォームファクター)での画面配置において利用可能なスペースを最適化し、1~2回のクリックで最大限の機能を利用できるようにしています。
LibreOfficeの他のオフィススイートに対する最大の利点は、デスクトップ、クラウド、モバイルのすべての環境に対応する「単一の」ソフトウェアプラットフォームであるLibreOffice Technologyエンジンです。この基礎構造により、LibreOfficeはより優れたユーザー体験を提供し、最も重要な点として、互換性、回復力、デジタル主権を重視するユーザー向けのオープンなODF (ODT、ODS、ODP) と、独占的なMicrosoft OOXML (DOCX、XLSX、PPTX) の2つの利用可能なISO標準に基づいて、同一かつ完全に相互運用可能なドキュメントを作成することができます。
LibreOffice 24.2 Communityのハイライト
全般
- 自動回復情報の保存はデフォルトで有効になり、常にバックアップコピーを作成するようになりました。これにより、LibreOfficeの設定に不慣れな初めてのユーザーがコンテンツを失う危険性を減らすことができます。
- ノートブックバーの様々なオプションを修正し、多くのメニューの改善、印刷プレビューのサポートの改善、カスタマイズされたレイアウトの適切な再配置、ラジオボタンの使用の強化を行いました。これにより、Microsoft OfficeのUIに慣れ親しんでいるユーザーの体験が向上しました。
- 特殊文字を挿入するドロップダウンリストで、選択された文字の説明が表示されるようになりました(カーソルを置くとツールチップにも表示されます)。
Writer
- リーガル書式の順序リスト: 指定されたリストレベルのすべての数値部分にアラビア数字を使用します。
- コメントにスタイルを使用できるようになりました。デフォルトでは段落スタイルの「コメント」が適用されます。これにより、一度にすべてのコメントの書式を変更したり、異なるタイプのコメントを視覚的に分類したりすることが簡単になります。
- 複数ページにわたるフローティングテーブルのサポートに関してさまざまな点が改善されました:重なりの制御、枠線および脚注、入れ子構造、全ページでの折り返し、および関連するUIの改善が含まれます。
Calc
- サイドバーの関数に検索フィールドが追加されました。
- 科学的な数値フォーマットがODFでサポートされ、保存されるようになりました:埋め込まれたテキスト(数値フォーマットが ###.000 E0 のようなもの)、指数の小文字表記(数値フォーマットが ###.000e0 のようなもの)、’0′ の代わりに空白 ‘?’ を使用する指数表記(数値フォーマットが 0.00E+?0 のようなもの)が含まれます。
- アクティブなセルに対応する行と列をハイライト表示が可能になりました。
ImpressとDraw
- Impressにおいて、小文字の処理が実装されました。
- プレゼンターコンソールとリモートコントロールの設定を、ツール > オプション > LibreOffice Impress から スライドショー > スライドショーの設定 に移動し、ラベリングとダイアログのレイアウトが向上しました。
- テンプレートに関するいくつかの改善と修正が行われました:さまざまなプレースホルダーが追加および配置され、スライドの順序が修正されました。フォントと書式が一貫性を持つようになり、スタイルとその階層が修正されました。ODFの準拠性が向上し、英語以外の言語でテンプレートを使用しやすくなり、CJKおよびCTLに対して誤ったフォントの使用が修正されました。
アクセシビリティ
- マウスの位置の取り扱いおよびプレゼンテーションダイアログボックスの表示に関するアクセシビリティAPIの改善が複数あり、これによりスクリーンリーダーが正しくそれらを提示できるようになりました。
- IAccessible2の役割とテキスト/オブジェクト属性の管理が向上し、スクリーンリーダーがそれらを正確に表現できるようになりました。
- ダイアログ内のステータスバーは正しいアクセシビリティ上の役割が報告され、スクリーンリーダーがそれらを適切に認識し報告できるようになりました。ダイアログ内のチェックボックスはスペースバーを使用して切り替え可能になりました。
セキュリティ
- 「パスワード付きで保存」のダイアログボックスにパスワードの強度メーターが装備されました。これは、zxcvbn-cを使用してパスワードの強度を判断します。
- 性能が向上し、メタデータをより効果的に非表示にし、改ざんや総当たり攻撃に対してより強力なパスワードベースのODF暗号化が新たに導入されました。
- マクロのセキュリティ設定に関するオプションダイアログボックスのテキストが明確化され、具体的に何が許可されているか、何が許可されていないかが明確になりました。
すべての新機能の説明はリリースノートをご覧ください。[1]
LibreOffice 24.2 Communityへの貢献者
LibreOffice 24.2 Communityの新機能は166名の貢献者によって開発されました。ソースコードへの貢献の57%は、TDFのアドバイザリーボードに参加するCollabora、Red Hat、allotropiaの3社やその他の組織に所属する50名の開発者によるものであり、20%はThe Document Foundationに所属する8名の開発者によるもので、残り23%は108名の個人ボランティアによるものでした。
さらに、159人のボランティアが160の言語でのローカライゼーションにコミットし、数百人が翻訳を提供しています。LibreOffice 24.2 Communityは、他のどのオープンソースソフトウェアや独占的ソフトウェアよりも多い120の言語でリリースされており、世界中で55億人以上の人々が母語(L1)で利用できます。さらに、24億人以上の人々がそれら120言語のいずれかを第2言語(L2)として使用しています。
企業向けLibreOffice
TDFは、企業・団体へのLibreOffice導入について、エコシステムパートナーが提供する特別な付加価値を多数含んだ、LibreOffice Enterpriseファミリー(デスクトップ、モバイル、クラウド向け)の導入を強く推奨します。これらには、多くの特典が含まれ、他にもサービスレベル契約(SLA)などのメリットがあります。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-in-business/
エコシステム企業が顧客のために開発したすべてのプログラムはマスターコードリポジトリでコミュニティと共有され、LibreOffice Technologyプラットフォームを改善します。
LibreOffice Technologyをベースにした製品は、Windows、macOS、Linux、Chrome OSの主要デスクトップOSをはじめ、AndroidやiOSのモバイルプラットフォーム、クラウドにも提供されています。
LibreOfficeへの移行
The Document Founrationは、企業が独占的なオフィスソフトからLibreOfficeへ移行することをサポートするための移行プロトコルを開発しました。このプロトコルは、LibreOfficeの企業向けに最適化されたバージョンのLTS(長期サポート)版導入に加えて、認定専門家により提供される移行コンサルティングとトレーニングを前提としています。
参考: https://ja.libreoffice.org/get-help/professional-support/
LibreOfficeには、成熟したプログラムコード、豊富な機能、オープンスタンダードに対する強力なサポート、優れた相互運用性、そして認定パートナーによる長期サポート(LTS)オプションがあります。データのコントロールを取り戻し、ベンダーロックインから開放されたい企業にとってLibreOfficeは理想的なソリューションです。
Microsoft Officeとの相互運用性
LibreOffice 24.2は、MS Officeと文書を共有したり、そこから移行しようとするユーザーを対象に多くの改善と新機能を提供しています。これは、LibreOfficeテクノロジープラットフォームの高度な機能を基盤として、デスクトップ、モバイル、クラウドでの個人の生産性向上を目指すものです。ここれらのユーザーは、定期的にLibreOfficeの新しいリリースを確認されることをお勧めします。LibreOfficeの進歩は非常に速く、新しいバージョンは以前のバージョンよりも大幅に改善しているからです。
最も重要ないくつかの改善点:
- Writer: 先頭ページのヘッダー/フッターのOOXMLインポート性能が向上し、先頭ページのために新しいページスタイルを作成するのではなく、既存のページスタイル内から先頭ページプロパティを使用するようになりました。
- Writer: 日本のユーザー向けにMicrosoft Wordとの相互運用性を向上させるため、ローカライゼーションカテゴリに日本語テキストに最適化されたテンプレートが追加されました。
- Writer: docxドキュメントからの「描画キャンバス」のインポートが改善され、コネクタが単なる図形としてではなく本来のコネクタとしてインポートされるようになりました。楕円などの基本的な形状はooxmlの図形としてインポートされ、図形内のテキストは折り返すことができるようになるほか、図形に対して多色のグラデーション、テーマカラー、発光効果などが適用されるようになりました。
- OOXML: SVG OOXML拡張のサポートが追加され、svgBlip要素がサポートされていない場合(古いバージョンのMSOfficeなど)に使用される代替用PNGイメージに加えて、SVG画像(svgBlip要素)のインポートとエクスポートが可能になりました。
LibreOfficeは、セキュリティと堅牢性の面で独自ファイル形式よりも優れたオープンドキュメント形式(ODF)のネイティブでのサポートから、さまざまな古いドキュメント形式を利用するためのフィルター同様に、MS Officeファイルの優れたサポートまで、オフィスソフトの世界で最高レベルの互換性を提供しています。
Microsoft Officeが使用するファイル形式は、国際標準化機構(ISO)が承認した標準規格ではなく、ISOが2008年4月に非推奨にした独自の形式に基づいているため、多くの意図的な複雑さが隠されています。これは、真のオープンスタンダードを使用していると確信しているユーザーにとって問題を引き起こします。
LibreOffice 24.2 Communityの利用について
LibreOffice 24.2 Communityは以下から利用可能です。
https://ja.libreoffice.org/download/
商用OSの最小要件は、Microsoft Windows 7 SP1とApple macOS 10.15です。LibreOffice TechnologyをベースとしたAndroidとiOS向けの製品についてはこちらをご覧ください。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-for-android-and-ios/
最新の機能を必要とせず、より多くのテストとバグ修正が行なわれたバージョンが必要な方のために、The Document FoundationではLibreOffice 7.6ファミリーを保守しています。これには、数カ月間に後方移植された修正が含まれています。現在のバージョンは、LibreOffice 7.6.4です。
The Document Foundationは、ユーザー向けの技術サポートは提供していませんが、メーリングリストや質問掲示板のAsk LibreOfficeに質問を投稿して、他のユーザーからのサポートを受けられます。
https://ask.libreoffice.org/c/japanese/16
LibreOfficeユーザー、自由ソフトウエアを支持する方、コミュニティメンバーは、寄付を通じてThe Document Foundationを金銭面からサポートできます。
https://ja.libreoffice.org/donate
[1] リリースノート: https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/24.2/ja
プレスキット
ダウンロードリンク: https://nextcloud.documentfoundation.org/s/i4LtiHDBbwJa9Cs
日本でのお問い合わせ先
LibreOfficeに関する日本語でのお問い合わせについては、LibreOffice日本語チーム<ja-contact@libreoffice.org>までお問い合わせください。(担当: 榎 真治/目黒 純)
このプレスリリースは、LibreOffice日本語チームにより、田中秀宗さん、Saburoさん、iwajunさん、なみかわみさきさんの協力を得て翻訳されました。
原文のblog記事:https://blog.documentfoundation.org/blog/2024/01/31/libreoffice-24-2/