2020年のドキュメントの自由

クラウド時代においては、ほとんどの人々はもはや「リアル」なファイルを持つことはなく、それらはオンラインシステム上へのポインターに置き換わってしまいました。そして、そのファイルをダウンロードして自身のパソコンで編集しようとするまで、自由を失ったことに気づかないのです。そのときになって、独占的な(プロプライエタリな)オフィスソフトを購入しなければ、自身がまさに所有するコンテンツにアクセスできず、独占的なファイルフォーマットの人質になっていることにようやく気付くのです。そんなことは、Open Document Format (ODF)を選んでさえいれば起こりえなかったのです。ODFは特別な許可を得ることなく、いかなるソフトウェアベンダでも実装できます。難読化され、1つの企業に所有された擬似的な標準をリバースエンジニアリングする必要もありません。

2012年に、欧州委員会の副委員長Neelie Kroesは、単一のICT供給者に公的機関が依存することを排除するための新たなポリシー制定の告知にて「オープンな標準は競争を生み、イノベーションを導き、そしてお金の節約になる」と述べました。そのときの試算で、ロックインに対抗する新たなアプローチの勧告に従うことで、EUの公的機関は年間11憶ユーロの資金を節約できたはずなのです。

新しいICTシステムを調達する際、ある単一のICTブランド、システム、あるいはプロダクトを指定する代わりに、オープンな標準に基づくことで、納税者のお金を節約できます。しかしながら、多くの組織は、そのICTシステムにもっとも適した標準がどれであるかを決定するには経験が不足していたか、あるいは、何かを変えることによって初期コストが増大したりデータを失ったりすることを恐れてきました。その結果として、8年もの時を経ても、彼らはそのICTシステム、あるいは単一の供給者との関係のロックインは残っています。独占的、あるいは「ニセ」標準フォーマットを使い続けるという非常識な決定にこだわりつづけることで、エンドユーザーまたは納税者のお金を、私たちはどれだけグローバルに失ってきたのでしょうか?

Open Document Formatは、将来も利用できることが保証されてポータブルな方法で情報を保存できる、よく設計された、柔軟でオープンなドキュメントの標準フォーマットです。おそらく、一般的なユーザーにとって最高の機能は、元のドキュメントを作った特定のソフトウェアに依存することなく意図したとおりに動作するために、使っているということを気づかされない、ということです。ODFではドキュメントを保存するときに、作業したソフトウェアに関連付けられることなく保存されるため、ドキュメントの内容は正しく維持され、異なるOS上で動作する異なるソフトウェアからアクセスしたとしても、ドキュメントの見た目は同じです。ODFファイルはプラットフォーム非依存で、いかなるソフトウェアにも依存するものでもありません。

Open Document Formatは、このフォーマットをユニークなものとしているいくつかの明白な利点があります:

  • ODFドキュメントは、レガシーで独占的な同等品に比べてサイズが小さいです。構造がよりシンプルなため、より堅牢です。
  • 技術的でないユーザーであっても、コンテンツもメディアオブジェクト(画像、動画など)もオフィスアプリケーションの外部からも直接アクセス可能です。
  • シンプルなXML構文は人間にとって読んだり理解しやすく、ファイルをZIP展開して内容に直接アクセスして、ドキュメントを容易に修復できます。
  • ODFはより安全です。軽量な構造により、厳格なセキュリティポリシーを適用するのが容易だからです。
  • ODFは多数のすでに存在する標準を可能な限り再利用しているため、仕様がより小さく、より堅牢で、実装およびサポートがより容易かつ省コストです。
  • 「スマートな」技術に明るいユーザーは機械加工できるデータをドキュメントの内容に簡単に追加でき、自動で入力できる「スマートドキュメント」を作成できます。
  • 表計算のセル関数を定義する、明確で簡潔なOpenFormula標準は、表計算のレガシーなバグ、たとえば43年間におよぶ「うるう年」バグなど、を除いたものとなります。

エンタープライズおよび政府機関向けのキーとなる利点には次のものがあります:

  • ODFはオープンかつ堅牢な標準なので、今日保存されたドキュメントが、明日、技術的にロックされたり、読めなくなったりすることがないことを保証しますし、どんなベンダーの商用的戦略から独立して内容に常にアクセスできます。
  • ODFは内容(情報)を、ファイルを作成するのに用いたアプリケーションとは分離して保持するので、どんなドキュメントもどんなアプリケーションからシームレスかつ元の内容に忠実にアクセスでき、独占的なコードやその他の制約に干渉されることはありません。
  • ODFは真にオープンな標準なので、独占的な、あるいはオープンソースなアプリケーション問わず、あらゆるソフトウェアベンダーがその機能と価格で競争することを促進します。
  • ODFはプラットフォーム独立なフォーマットを提供しますので、どんな企業も新たなアプリケーションやサービスを作成し配布できます。また、ベースとなる標準のおかげで、将来に何らかの進化がされたとしても既存のドキュメントはアクセス可能であることを保証します。
  • ODFは、デジタルな形式で作成され保存された潜在的に歴史的な重要な文書に、今日だけでなく将来の世代にわたりアクセスできるという、エンタープライズおよび政府機関の基本的な要求を満足する、市場における唯一のオープンで、XMLベースなドキュメントファイルフォーマットです。
  • (訳注:災害時や感染症対策などの)緊急事態においてもODFの採用は説得力のあるものです。元の文書の特性を心配することなく、救援活動において重要な、情報にアクセスし共有できるということを保証することができるからです。

ODFについて学ぶには、Wikipedia(英語)(日本語)から始めるか、あるいはOASIS ODF導入TC(現在はOASISのODF Advocacy Open Project)によるホワイトペーパーOpen by Design, The Advantages of the OpenDocument Format (ODF)をご覧ください。ODFとその優位性については以下も参考になります:Open Forum Europe – Dual Standards More Choice or Less, Italo Vignoli – Keep it Open, それからOpen Document Formatについての包括的なスライド

すべてのドキュメントの参照標準としてODFを採用している、イギリス政府の内閣府は、オープンな標準原則についての興味深いポリシーペーパーおよび、政府機関におけるオープンな標準およびODFの特定の優位性における興味深い視点を提供する、あなたの組織でのOpen Document Format (ODF)の利用という文書を公開しています。

今から1週間後の3月25日、私たちはドキュメント自由の日(Document Freedom Day)をお祝いします。この日は、自身が作った、けれどもしばしば- 意図しないで – 独占的なソフトウェアベンダーに手渡してしまったドキュメントと内容について、その所有権を取り戻すために、オープンなドキュメントスタンダートを用いましょうということを組織とユーザーに啓蒙するものです。これは、それらドキュメントがクラウドにあるのか、ローカルのハードディスクにあるかには依存しません。

何日か後に、3月25日向けにブログやSNSで私たちみんなが共有できるようなイメージをいくつか提供する予定です。お待ちください!

この記事は下記ブログ記事からのLibreOffice日本語チームによる翻訳です:
https://blog.documentfoundation.org/blog/2020/03/17/document-freedom-in-2020/

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