「LibreOffice 7.1 Community」がThe Document Foundationからリリース

デスクトップ、モバイル、クラウドで生産性を向上するLibreOffice Technologyプラットフォームベースの最高に自由なオープンソース・オフィスソフト新バージョン「LibreOffice 7.1 Community」がリリース

2021年2月3日ベルリン – デスクトップ上での生産性を向上させる最高のオープンソース・オフィスソフト「LibreOffice 7.1 Community」のダウンロード提供を開始しました。https://ja.libreoffice.org/download
この「Community」という表記は、ボランティアサポート版であることを表し、企業の利用は対象としておらず、サポートを必要とする企業には適していない事を強調するために付けられています。

企業や団体へのLibreOffice導入についてTDFは、長期サポートリリース(LTS)、専任サポート、お客様向けにカスタマイズされた新機能、サービスレベル契約(SLA)など、さまざまなメリットが享受できるエコシステムパートナーから、LibreOffice Enterpriseファミリー(デスクトップ、モバイル、クラウド)の導入を強く推奨しています。 https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-in-business/

このような呼びかけにもかかわらず、企業や団体のニーズに最適化されたLibreOffice Enterpriseではなく、多くの企業がボランティアサポート版のLibreOffice Communityを選択してきました。これは、プロジェクトに二重の悪影響を及ぼしています。ひとつはボランティアの時間の浪費です。コミュニティに何の見返りももたらさないビジネスの問題解決のためにボランティアが時間を割き、活動が圧迫されています。2つめは、そのことにより本来、エコシステム企業が得られるはずの利益を失っていることです。

このような状況は、ソフトウエアの進化を遅らせ、LibreOfficeプロジェクトの持続性に問題を引き起こしています。実際のところ、エコシステム企業が顧客のために開発したプログラムすべてはグローバルコミュニティに還元され、LibreOfficeの改善とLibreOffice Technologyプラットフォームの成長を促進させています。

LibreOffice CommunityとLibreOffice Enterpriseファミリーの製品は、どちらもLibreOffice Technologyをベースにしています。2010年以降の市場の変化に対応してデスクトップだけでなく、モバイルやクラウドにも対応した最先端のオフィスソフトを提供するために、長年にわたり開発努力してきたことの成果です(ホワイトペーパーもご覧ください)。

現在、LibreOffice Technologyをベースとした製品は、主要デスクトップOS(Windows, macOS, Linux, ChromeOS)、モバイルプラットフォーム(Android, iOS)やクラウドで利用できます。LibreOffice Enterprise各社のブランド戦略により名前が異なる場合もありますが、LibreOfficeが持つ独自の利点、堅牢性、柔軟性はLibreOfficeと同じように共有しています。

私たちのミッションについて、企業や団体のお客様が能力に応じて貢献することへの重要さを示すとともに、サポートへの感謝を表すために「Community」というラベルを使うことになりました。

LibreOffice 7.1 Communityの新機能紹介 [1]

LibreOffice 7.1 Communityの新機能は、多くの開発者の貢献によって開発されました。開発の73%は、企業の顧客にサービスを提供するためにアドバイザリーボードに所属する企業(Collabora, Red Hat, CIB/Allotropia)や、その他の団体(TDFを含む)に雇用されている開発者によるもので、27%は個人のボランティアによるものです。

全般

  • さまざまなユーザーインターフェースを選択できる新ダイアログを搭載。初回起動時に、ユーザーの好みに応じた最適なUIが選択できます
  • 印刷する文書の用紙サイズと一致するプリンター用紙の検索が改善しました
  • 拡張機能マネージャーから新しい拡張機能を追加する際に、サポートするファイル一覧が表示するようになりました
  • 印刷プレビューは、非同期で更新されます。印刷ダイアログで設定をおこなう際にUIをブロックしません
  • 拡張機能の追加ダイアログが追加されました。拡張機能がワンクリックで検索、ダウンロード、インストールできます

Writer(ワープロ)

  • 段落や文字スタイルの属性、手動で設定された書式(直接設定された書式)のプロパティーを表示するためのスタイルインスペクターが新しく追加されました
  • 画像を追加する際の、アンカーの既定設定が[ツール] ▸ [オプション] ▸ [LibreOffice Writer]から変更できます
  • インポートされたテキストファイルにBOM(バイトオーダーマーク)がない場合でも、Unicodeの検出ができます
  • 「検索と置換」機能が大幅なスピードアップしました

Calc(表計算)

  • Enterキーの貼り付けを管理するオプションが追加されました。有効/無効が[ツール] ▸ [オプション] ▸ [LibreOffice Calc] ▸ [全般]から切り替できます
  • 「オートフィルター」のチェックボックスに、すべての行の項目を選択するオプションが追加されました
  • 「オートフィルター」と「検索と置換」機能が大幅にスピードアップしました

Impress(プレゼンテーション)・Draw(グラフィック)

  • Drawで既存PDFに目視できる電子署名が追加できます
  • Impressで複数オブジェクトのアニメーションが一度に変更できます
  • Impressのプレゼンターコンソールに「一時停止/再開」と「終了」ボタンが追加されました
  • オブジェクトにリアルでソフトなぼやけた影を追加できます
  • 物理演算ベースのアニメーション機能と使用するためのアニメーション効果のプリセットが新しく追加されました

マクロ

  • ScriptForgeライブラリーが追加されました。ScriptForgeライブラリーは、ユーザーが作成するBASICまたはPythonスクリプトから呼び出して使える、拡張性と堅牢性に優れたLibreOfficeのマクロ・スクリプト・リソースです。

LibreOffice 7.1 Communityの主要機能をまとめたビデオがYouTubeでご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=PLutwM8XKvo
PeerTubeはこちらです。 https://peertube.opencloud.lu/videos/watch/38ac180b-62b5-44b7-b649-74c7efe05758

LibreOfficeは相互運用性を高めるための効果的なツールです

LibreOffice 7.1 Communityには、DOCX/XLSX/PPTXファイルとの相互運用性のさまざまな改善が追加されています。Writerでは、表の改善(関数のインポート/エクスポートと管理と、変更の追跡のサポートを改善)。キャッシュされたフィールドの管理を改善。DOC/DOCXファイルでヘッダー最後の段落の下に間隔をサポート。そして、PPTXファイルをインポートする際のSmartArt読み込みがさらに改善されました。

LibreOfficeは、プロプライエタリのファイル形式よりも優れたセキュリティと相互運用性を備えたOpenDocument形式(ODF)の標準サポートを始め、DOCX、XLSX、PPTXファイルに最適化されたサポートまでオフィスソフトの世界で最高レベルの親和性を提供します。さらに、LibreOfficeは多くの古い文書形式に対応したフィルターが組み込まれており、市場でもっとも優れた相互運用性ツールとなっています。

LibreOfficeへの移行

The Document Founrationは、プロプライエタリなオフィスソフトからLibreOfficeへ移行する企業をサポートするための移行プロトコルを開発しました。このプロトコルは、LibreOffice EnterpriseファミリーのLTSバージョン導入ノウハウをもとに作られており、CIOやIT管理者にプロプライエタリソリューションに沿った価値あるソリューションを提供する認定専門家による、移行コンサルティングとトレーニングを提供しています。
参考ページ: https://ja.libreoffice.org/get-help/professional-support/

現実的な選択肢としてLibreOfficeは、成熟したプログラムコード、豊富な機能、オープン標準に対する強力なサポート、優れた相互運用性、そして認定パートナーによる長期サポートオプションにより、ベンダーの囲い込みから開放されたい企業にとって、LibreOfficeはデータのコントロールを取り戻すための理想的なソリューションです。

LibreOffice 7.1 Communityの利用について

LibreOffice 7.1 Communityは以下のリンクから利用可能です。
https://ja.libreoffice.org/download/
商用OSの最小要件は、Microsoft Windows 7 SP1とApple macOS 10.12です。

LibreOffice TechnologyをベースとしたAndroidとiOS向け製品はこちらをご覧ください
https://ja.libreoffice.org/download/android-and-ios/
アプリストアとChromeOS向け製品はこちらをご覧ください
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-from-microsoft-and-mac-app-stores/

LibreOffice7.1は個人の生産性向上を目的としていますが、The Document Foundationは新機能よりも多くのテストとバグ修正された安定したリリースが必要な方のために、数カ月の後方移植された修正を含むLibreOffice 7.0ファミリーを保守しています。現在のバージョンは、LibreOffice 7.0.4です。

The Document Foundationは、ユーザー向けの技術サポートは提供していませんが、メーリングリストや質問掲示板のAsk LibreOfficeウェブサイト(https://ask.libreoffice.org/ja/)に質問を投稿して、ほかのユーザーから支援が受けられます。

LibreOfficeユーザーや自由ソフトウェアの支持者、コミュニティメンバーの皆様は、https://ja.libreoffice.org/donateから寄付をしてThe Document Foundationを支援できます。

LibreOffice 7.1は、Document Liberation Project(https://www.documentliberation.org)による文書変換ライブラリを使用して構築しています。

[1] リリースノート: https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/7.1/ja

プレスキット

ダウンロードリンク: https://nextcloud.documentfoundation.org/s/FQXoczJb9RrExFA

日本でのお問い合わせ先

LibreOfficeに関する日本語でのお問い合わせについては、LibreOffice日本語チーム <ja-contact@libreoffice.org> までお問い合わせください。(担当: 野方 純/榎 真治)

こちらのプレスリリースは、日本語チームと西堀さんの協力により翻訳いたしました。

翻訳元記事:https://blog.documentfoundation.org/blog/2021/02/03/libreoffice-7-1-community/

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