LibreOffice 7.6 Communityリリースを発表


2023年8月21日ベルリン – デスクトップ生産性向上のための自由なオフィスソフトのボランティアサポート版「LibreOffice 7.6 Community」が新しくメジャーリリースされました。従来からのリリース番号体系(1桁目がリリースサイクル、2桁目がメジャーリリース)に基づく最後のリリースです。Windows版 (Intel/AMDおよびArmプロセッサ)、macOS版 (AppleおよびIntelプロセッサ)、Linux版は、以下より入手することができます。
https://ja.libreoffice.org/download/

2024年から、TDFはカレンダーベースのリリース番号を採用するため、次のメジャーリリースは2024年2月の2024.02となります。

LibreOfficeは、マーケットリーダーと機能ごとに比較することができる、個人の生産性向上のための唯一のオープンソースのオフィススイートです。12年間で5つのリリースサイクル(コードのクリーニング、コードのリファクタリング、ユーザインターフェースの改良、新しいハードウェアとソフトウェアプラットフォームへの拡張、ユーザーをサポートするためのOOXMLとの相互運用性の最適化)を経て、まったく新しい機能を開発することはますます難しくなっているため、そのほとんどは既存の改良や改善です。

LibreOffice 7.6 Communityのハイライト

全般

  • メイン画面においてタッチパッドを使用した際のズームジェスチャーのサポート
  • ドキュメントテーマのサポート、およびODFやOOXMLドキュメントのテーマ定義のインポートとエクスポート
  • フォント処理に関する多くの改善、特に右から左に書く言語(RTL)、CJK(中日韓)やその他アジア圏のアルファベットにおける改善

Writer

  • 新しいページ番号ウィザードが挿入メニューに追加され、ヘッダー/フッターへのページ番号挿入が簡単に行えるように
  • 書式設定ツールバーの段落スタイルのドロップダウンリストで、利用可能なスタイル全ての一覧ではなく、ドキュメント内で使用されているスタイルが一覧表示されるように
  • 図表の目次は、カテゴリやオブジェクト名だけでなく、段落スタイルに基づいてより柔軟に生成することができるように
  • 参考文献項目は、参考文献表から直接編集することができるように。参考文献マークは、デフォルトで参考文献表の対応する行へのハイパーリンクに
  • 使用されている段落スタイルと文字スタイルがハイライト表示できるように。また、テキスト内の直接書式設定された箇所もハイライト表示できるように
  • フレーズチェック:Hunspell(スペルチェック)で複数の単語からなる辞書項目とカスタム辞書が受け入れられるように

Calc

  • 数の書式:ODFへのエクスポート時に、整数の桁の表示で「?」がサポートされるように。それが非有意なゼロの場合は空白に置き換えられます。また、秒単位の書式で、切り捨てせずに小数点以下の桁数を表示する[SS].00のような書式が受け入れられるように
  • 別の文書にシートをコピーする際に、ユーザー定義の印刷範囲が保持されるように
  • ソルバーの設定が文書に保存されるように。また、ページスタイルは使用されていなくてもエクスポートされるように
  • 図形やコメントに対する図形スタイルのサポートが追加。これには、新しいコメントのデフォルトの外観やテキスト書式をカスタマイズするための専用のスタイルが含まれています
  • ピボットテーブルにコンパクトレイアウトが追加
  • オートフィルターで色によるソートが可能に。色によるフィルタリングやソートは、数の書式で設定された色も考慮するように
  • テキストのインポートダイアログ(CSVファイルまたは書式設定されていないテキストとして)に、「科学的表記法での数値を検出しない」という新しいオプションが追加されました。このオプションは、「特殊な数値を検出」がオフになっている場合にのみ利用可能です

ImpressとDraw

  • プレゼンテーション表示中にスライドを切り替えるための新しいナビゲーションパネルが追加(「スライドショー設定」でチェックボックスをオンにすることで有効化)
  • オブジェクトは、ナビゲータで「前面から背面へ」という順序でリスト表示することができるように。リストの一番上には最も上にあるオブジェクトが表示されます
  • PDFiumのインポートで、フリーテキスト注釈がサポートされるように。また、エクスポートでは、インク、フリーテキスト、ポリゴン/ポリラインの注釈がサポートされるように
  • 自動調整テキストスケーリングアルゴリズムが変更され、MS Officeに類似した方法で動作するように。テキストのスケーリングは、スペーススケール(段落や行のスペーシング)とフォントスケールに分離され、スペーススケールは100%、90%、80%のみが可能であり、フォントのスケーリングは最も近いポイントサイズに丸められます。水平方向のスペーシング(たとえば箇条書きのサイズ、各種インデント)はスケーリングされなくなりました
  • CJK言語とアラビア語のフォント管理に関するいくつかの改善

LibreOffice 7.6 Communityの主な新機能をまとめた動画は、こちらからご覧いただけます。

すべての新機能の説明はリリースノートをご覧ください。[1]

LibreOffice 7.6 Communityへの貢献者
LibreOffice 7.6 Communityの新機能は148名の貢献者によって開発されました。ソースコードへの貢献の61%は、TDFのアドバイザリーボードに参加するCollabora、Red Hat、allotropiaの3社やその他の組織に所属する52名の開発者によるものであり、15%はThe Document Foundationに所属する7名の開発者によるもので、残り24%は89名の個人ボランティアによるものでした。

他にも、202名のボランティアが数百人のローカライズに取り組む人々を代表し160言語で翻訳をコミットしました。LibreOffice 7.6 Communityは、他のどのオープンソースソフトウェアや独占的ソフトウェアよりも多い120の言語でリリースされており、世界中で54億人以上の人々が母語(L1)で利用できます。さらに、23億人以上の人々がそれら120言語のいずれかを第2言語(L2)として使用しています。

企業向けLibreOffice
TDFは、企業・団体へのLibreOffice導入について、エコシステムパートナーが提供する特別な付加価値を多数含んだ、LibreOffice Enterpriseファミリー(デスクトップ、モバイル、クラウド向け)の導入を強く推奨します。これらには、多くの特典が含まれ、他にもサービスレベル契約(SLA)などのメリットがあります。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-in-business/

エコシステム企業が顧客のために開発したすべてのプログラムはマスターリポジトリでコミュニティと共有され、LibreOffice Technologyプラットフォームを改善します。
LibreOffice Technologyをベースにした製品は、Windows、macOS、Linux、Chrome OSの主要デスクトップOSをはじめ、AndroidやiOSのモバイルプラットフォーム、クラウドにも提供されています。

LibreOfficeへの移行
The Document Founrationは、企業が独占的なオフィスソフトからLibreOfficeへ移行することをサポートするための移行プロトコルを開発しました。このプロトコルは、LibreOffice EnterpriseファミリーのLTS版導入に加えて、認定専門家により提供される移行コンサルティングとトレーニングを前提としています。
参考: https://ja.libreoffice.org/get-help/professional-support/

実際、LibreOfficeには成熟したプログラムコード、豊富な機能、オープンスタンダードに対する強力なサポート、優れた相互運用性、そして認定パートナーによる長期サポート(LTS)オプションがあります。データのコントロールを取り戻してベンダーロックインからの開放を望む企業にとってLibreOfficeは理想的なソリューションです。

Microsoft Officeとの相互運用性
デスクトップ、モバイル、クラウドでの個人の生産性を高めるLibreOffice Technologyプラットフォームの特徴的な機能をベースに作られたLibreOffice 7.6は、MS Officeとドキュメントを共有するユーザーやMS Officeから移行するユーザーを対象に、多くの改善と新機能を提供します。これらのユーザーは、定期的にLibreOfficeの新しいリリースを確認されることをお勧めします。LibreOfficeの進歩は非常に速く、新しいバージョンは以前のバージョンよりも大幅に改善しているからです。

最も重要ないくつかの改善点:

  • Writer: DOCXファイル内のフレームに関するいくつかの修正が行われました。これには、失われたフレーム、分割すべき別々のフレームが結合されたもの、結合すべきフレームが分割されたもの、重なるフレーム、無視された親スタイル、失われた相対配置、誤った絶対配置、失われた回転などが含まれます
  • Writer: DOCXの段落マーカーの文字プロパティも、ODTドキュメントでも保存されるようになりました
  • Writer: 複数ページのフローティングテーブルの処理が大幅に改善。特に、DOCX/DOC/RTFのインポート/エクスポート時に顕著です
  • Calc:条件付き書式のセルの境界線色のXLSXへのエクスポートを修正しました。

LibreOfficeは、オフィスソフトの世界で最高レベルの互換性を提供しています。セキュリティや堅牢性の面で独自ファイル形式よりも優れたオープンドキュメント形式(ODF)のネイティブでのサポートから、MS Officeファイルの優れたサポート、多数の古いドキュメント形式を利用するためのフィルターなどにより、ファイルの所有権とコントロールをユーザーに取り戻します。

Microsoft Officeが使用するファイル形式は、国際標準化機構(ISO)承認の標準規格ではなく、ISOが2008年4月に非推奨にした独自の形式に基づいているため、多くの意図的な複雑さが隠されています。このことは、本物のオープンスタンダードである「オープンドキュメント形式」(ODF)を採用しているLibreOfficeにとって、大きな障害となります。

LibreOffice 7.6 Communityの利用について
LibreOffice 7.6 Communityは以下から利用可能です。
https://ja.libreoffice.org/download/
商用OSの最小要件は、Microsoft Windows 7 SP1とApple macOS 10.15です。LibreOffice TechnologyをベースとしたAndroidとiOS向けの製品についてはこちらをご覧ください。
https://ja.libreoffice.org/download/libreoffice-for-android-and-ios/

最新の機能を必要とせず、より多くのテストとバグ修正が行なわれたバージョンが必要な方のために、The Document FoundationではLibreOffice 7.5ファミリーを保守しています。これには、数カ月間に後方移植された修正が含まれています。現在のバージョンは、LibreOffice 7.5.5です。

The Document Foundationは、ユーザー向けの技術サポートは提供していませんが、メーリングリストや質問掲示板のAsk LibreOfficeに質問を投稿して、他のユーザーからのサポートを受けられます。
https://ask.libreoffice.org/c/japanese/16

LibreOfficeユーザー、自由ソフトウエアを支持する方、コミュニティメンバーは寄付を通してThe Document Foundationを金銭面からサポートできます。
https://ja.libreoffice.org/donate

[1] リリースノート: https://wiki.documentfoundation.org/ReleaseNotes/7.6

プレスキット
ダウンロードリンク:https://nextcloud.documentfoundation.org/s/k7kZDbx8HTWmZ8N

日本でのお問い合わせ先
LibreOfficeに関する日本語でのお問い合わせについては、LibreOffice日本語チーム <ja-contact@libreoffice.org> までお問い合わせください。(担当: 榎 真治/目黒 純)

このプレスリリースは、LibreOffice日本語チームにより、Saburoさんとなみかわみさきさんの協力を得て翻訳されました。
原文Blog記事: https://blog.documentfoundation.org/blog/2023/08/21/libreoffice-7-6-community/

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

I accept the Privacy Policy